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まず最初から、データロガーって何よ?という疑問が出てきてしまった貴方への解説です。Wikipediaの日本語のページではなんだか的を得ていない内容なので、ここで解説します。

まず、データロガーは日本語ではありません。二つの英単語の合成語です。Data とLoggerです。更にLoggerはLogするヤツって意味ですから、つまりデータをログするヤツです。データは値、ログは記録ですから「値を記録するやつ」になりますね。ここまで単語通りに理解していただいて間違いないです。

ここでいう値というのは通常センサーが出す出力を指します。センサーの解説は要りませんね。なんだかんだを測定するなんだかんだのことです。例えばアルコール式温度計、これは温度を測る物体で、これもセンサーの1つなのですが、壁掛けで電源がなくても使えるように作った、つまり値を目で見る目的を達成した手段としては完璧な仕上がりです。その反面、値は目で見るしかないとも言えます。

さてここで、この値を例えば10分おきに確認して、1日の温度の変化を記録してね。というアルバイトが募集されたとします。それは時給800円くらい(福岡相場2014年現在)欲しいなあということになります。24時間×800円/時=19200円相当です。なかなかいいですね。ところが、じゃあ1週間やってね。と言われると、寝る時間がないしそれはちょっと考えさせてください、となりますね。でも24時間×800円/時×7日=134400円。アルバイト料は魅力なんだけどどうしようかなあ?出来るのかなあ?という状況になってきました。

こういうシーンで登場するのが、電気的な出力を持ったセンサーとデータロガーです。一言で言えば、めんどくさくて、疲れるし、やってられない、でもアルバイト料はもらいたいし、という状況下で使う代物です。先のアルコール式温度計では電気的な出力が出ないので、例えば、サーミスタ、白金温度計なんかだとこれは温度によって抵抗値が変化する性質を持つわけで、温度と湿度の両方を計測してね。って言われたら温湿度センサーなんてのがあり、電源を与えると電圧で出力を返してきます。こういうのを測りたいパラメータに応じて選定すれば良いわけです。そしてセンサー類の電気的な出力をデータロガーに接続して、記録間隔(インターバル)を設定したり、センサーに与える電源の電圧(プレヒート)を設定したり、センサーの出力レンジに合わせた計測レンジを設定したり、最後にデータロガーのスイッチをONにすれば、貴方は寝ずにメモ帳に記載する仕事から解放され、遊んでいても良いわけです。多分多くの方にとって、コッチの方が楽だと思うのです。

その後、1週間経過して、データロガーのスイッチをOFFし、メモリーカードを抜いて、パソコンに刺し、エクセルで読み込めるデータ形式CSVなんかにコンバートして、ついでに電圧値ではなく、人が理解できる値、つまり物理量(℃とかmmとかW/m2/s とか様々)ってやつにコンバートして、最後にそのエクセルデータを雇用主に提出します。これで134400円は貴方のものです。

人によっては、上記アルバイト料が根拠ではなく、仕事そのものであったり、趣味であったり、研究であったりしますけど、おおよそ使い方としては同じです。これでデータロガーとはなんぞや?が理解いただけたかな?と思います。

さて、ついでに、上記の一連の流れはデータロガーを使う計測において、重要で欠かせない機能で在るという事も意味しています。パラメータを記録して、人に解るようにデータを示すという流れです。箇条書きにすると、

○世にあるいろんなセンサーを駆動させ(プレヒート)
○その出力を電圧や抵抗の値で記録する
○記録した電気的な単位の値を物理量にコンバートする
○編集しやすいようにエクセルで読める形のデータにする

データロガー周りで出てくる用語の解説
分解能
アルコール温度計では0.1℃はどうやっても人間の目では判断が付かないのですが、こういう電気的なものを使うと0.1℃どころか0.01℃だって読める(分解できる)というメリットもあります。これが分解能という単語が意味するところで、例えばMIJ-01では24bitの分解能があるのですが、それは2の24乗=16777216分割できるって意味です。これは例えば5Vを計測するときレンジは±5Vなので、5.96×10^-7mV=5.96×10^-4μV=0.000596μVになります。分解できる能力はこの程度ですって意味で、精度とは違います。そしてこの能力は搭載しているADコンバーターの能力って意味になります。これはアナログからデジタルに変換する役割の部品です。

精度
データロガーの用途に限定して説明すれば、温度、気圧、湿度、環境ノイズなどが普遍である環境下で繰り返して計測を行ったとき、同じ測定値を返す割合を指します。代表的な表現方法としては、±0.02%F.S.って書き方があります。最後のF.S.はFull Scaleの省略でして、測定できる範囲を意味します。つまり測定できる範囲の±0.02%が、何度も測定したときのばらつく範囲という意味になります。何故%で表示するのかという点については個人的な解釈になりますが、データロガーの場合は測定範囲を接続するセンサーの出力に合わせて設定する為、例えば5Vレンジ、1.25Vレンジ、15mVレンジなど任意にその範囲を設定できるようになっています。各レンジと精度の関係をピックアップすれば
DIFF±5000mV±0.02%F.S.
DIFF±1250mV±0.05%F.S.
DIFF±0015mV±0.04%F.S.
となり、おおよそ精度の桁が同じであることが解ります。レンジを変えてもだいたい同じ精度ですよって意味に聞こえてくるでしょう。これが表現方法の理由だと思います。同じADコンバータを使うので、だいたい同じ精度になるということですね。若干違いが出るのはモロモロの理由という説明で留めておきます。